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気の向くまま

まったりオタクライフの日々

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煮詰まった2

ウィルスチェックは毎日していますが、今のところ大丈夫です。
ドリの変換サイトさまも復活されたようですね。よかったです。
こっちはまだ書き終わってないけど……(涙)
動こうよ、絳攸。いや、頑張って書こうよ私!
このままじゃ絳攸の出番がなくなってしまう……!!


あ、続きは桃花扇BASARAです。デフォルト名は「柏木早苗」
昨日の続きというか、シリーズみたいな感じです。


「「「「ありがとうございましたっ!!」」」」

胴衣姿の男の子達に大きな声で挨拶をされ、早苗は気をつけてお帰り、と
声をかけた。

早苗がいる場所は佐助と幸村もとい、弁丸と住む家の近くにある剣術道場である。
家に越してきた当初、町を散策しているとき出くわした引ったくりを
早苗がとっつかまえたのだが、その場面を偶然見ていた剣術道場の主から
ぜひ稽古をと請われこうして出向いているのである。

「お待たせしました、弁丸さま。帰りましょう。」
「うむ!」

最初は早苗一人で出向いていたのだが、そのうち弁丸もついてくるようになったのだ。
武家の子だけあって興味があるらしく、いつも真剣な眼差しで早苗の稽古を見ていた。

「それがし、はらがすいたぞ!」
「もうすぐ夕餉です。佐助さんが作って待っていますよ。」
「さすけがつくったものはいつもうまいでござる!」
「そうですね。」

木刀を持って歩く早苗のまわりを弁丸はあれこれと話ながら駆け回る。
ころころと表情が変わる様子は、子供はおろか結婚すらしていない早苗ですら
可愛らしいと心底思う。

真田家の事情がどんなものかは知らないが、こんなに素直で元気よく育つ様を
見られないのは勿体ないとつくづく思う。子はあっという間に成長するというのに。

「早苗!あそこにだんごがうっておるぞ!」
「もう夕餉です。団子を食べたら入らなくなって佐助さんに叱られますよ。」
「う……さすけはおこるとこわいのでござる。でもたべたいでござる。」

そう言ってしょんぼりと弁丸は物欲しそうに店の方を見つめた。
稽古中はほとんど飲まず食わずでやっているのだ。早苗ならいざ知らず
幼い弁丸にはつらいだろう。

「弁丸さま。一本だけですよ。」
「よいのか!?」
「大人しく待ってられたご褒美です。でも一本だけですからね。」
「ありがとうでござる!」

満面の笑みで礼を言われ、早苗はこそばゆい思いを感じながら
どういたしまして、と返した。
店でみたらし団子を買い、包みから一本だけ取りだし弁丸の手に握らせてやる。

「落とさないように気をつけてくださいね。」
「あいわかったでござる!あとのだんごはどうするのだ?」
「これは佐助さんへのお土産です。」

そう言って弁丸が団子を頬張ろうとしたとき、弁丸の口がピタリと止まる。
どうしたのかと弁丸の視線の先を見てみると、そこには父親に肩車をされた
子供が歩いているのが見えた。

「早苗。」
「はい。」
「あのおやこがやっているのはなんでござろう?」
「あれは肩車と言いまして、親が子を肩に乗せて歩くのですよ。」
「かたぐるま……。」

親子仲むつまじく過ごすというのは、位が上がれば上がるほど
なくなっていくものだと、早苗は此処に来て知らされた。
特に武家社会はそれが顕著であり物心つくまえに親と引き離されることは
よくあること。となれば、親に肩車をしてもらわない子もいるのだ。
それは武家では珍しいことでもなんでもない。だが。

「失礼、弁丸さま。」
「うわっ!?」

早苗は弁丸を持ち上げると、ひょいっと自分の肩に乗せた。

「おおっ!?高いぞ!」
「私はあまり背が高い方ではありませんが、弁丸さまよりは
高いですからね。」
「とおくがよくみえるでござる!!」

顔は見えなくても、声だけでどれだけ喜んでいるのかわかったから
早苗もつられるように笑顔を浮かべた。
肩の上で動きまくる弁丸を落とさないように歩を進める。

「たかいところでたべるだんごはうまいぞ、早苗!」
「ようございました。」
「かたぐるまとは、まことたのしいでござる。」
「はい。」

笑顔を浮かべて家に帰ると、漂ってくるいい香りで佐助が夕餉の
支度をして待ってくれているのがわかった。

「ただいまでござる!」
「ただいま戻りました。」
「お帰りーって、なーにやってんの二人とも。」

早苗に肩車をされて帰ってきた弁丸を見て、佐助はやれやれと笑う。
早苗の肩から降ろされた弁丸は佐助の側に駆け寄る。

「さすけ!きょうのゆうげはなんでござろう?」
「今日は煮魚だよ。あ、弁丸さまその手に持っているのは何?」
「こ、ここここれは。」
「夕餉前に食べちゃ駄目って言ったでしょうが。」
「う……すまないでござる。」
「稽古を大人しく待っていたご褒美に一本だけあげたんです。
叱らないであげてください。あ、これは佐助さんの分です。」
「ありがと。でも甘やかしちゃ駄目だよ。」
「たまにはいいじゃないですか。」
「弁丸さまがちゃんと夕餉食べなかったら早苗のせいだからね。
あ、お湯の用意ができているから先に入っておいで。
汗かいたでしょ?その間にすぐ食べられるように用意しておくから。」
「はい。さ、弁丸さま。先に汗を流してしまいましょう。」
「わかったのだ!」

弁丸の手を引いて奥に入った早苗を見て、佐助は腕を組んで頷く。

「しっかり稼いで弁丸さまの面倒を見て、俺様にまで土産を買ってきて
くれるなんて、いやー本当にえらいね早苗は。なんつーか、
良い旦那さまの見本って感じ?

あははーと笑おうとして、佐助の笑顔が固まった。

「いやいやいや!違うでしょ、それは違うでしょーがっ!
それじゃまるで俺様が奥さんじゃないのっ!!」

違うから!俺様凄腕の忍びだから!そう呟く佐助の耳に
弁丸の足音が聞こえた。

「さすけー!それがしゆうげがたべたいぞ!」
「え?弁丸さまもう出ちゃったの!ちゃんと温まった?っていうか
ちゃんと拭かないと床が濡れちゃうでしょうが!ほらすぐに着替える!
風邪ひいたら大変だよ!」

そう言って佐助は素早く弁丸の体を拭き、寝間着用の浴衣を
着せてやった。
そうしている間に早苗も浴衣姿であらわれる。

「それじゃ夕餉にするから座って待っててね。」
「はい。」
「わかってでござる!」
「今日の煮魚はねー、味がしみこんでいて美味しいよ。」
「はやくたべたいでござる!!」
「はいはい。」


そんな三人家族(?)の家を少し離れて見守っている人物がいた。

「どこからどう見ても立派な家族だな。夫婦の性別が世間と逆でも。」

と呟いたのは信玄の書状をもってきた才蔵である。
ちなみに事細かに信玄に報告され、後日信玄からの書状により

「いっそのこと、このまま暮らしても良いぞ。」

と言われるのだが、ほのぼのと夕餉を食べている一家(?)は
知る由もない。


<あとがき>
家族ものが書きたかったんです。
佐助がオカンだから、ヒロインのポジションはオトンしか
ないかなーっと思ってこういう形になりました。

やっちゃったと思うけど後悔はしていません(笑)
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