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気の向くまま

まったりオタクライフの日々

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煮詰まった

絳攸が動いてくれません。
絳攸の出番がないなーってしばらく書いていなかったら
動かし方を忘れてしまった(汗)
せっかくの出番なのに!頑張って絳攸!(むしろ自分が頑張れ)

というわけで息抜きにBASARAの小話を。
桃花扇の設定なのでデフォルト名は「柏木早苗」で。



「早苗っ!」

書物を読んでいたら、突然スパーンと障子が開かれ佐助が慌てた様子で
飛び込んできた。人を慌てさすことはあっても(幸村とか幸村とか幸村とか)
自分が慌てることなど滅多にない忍びにあるまじき狼狽えっぷりに
早苗は思わず書物を閉じて向き直った。

「どうしたんですか、佐助さん。」
「これを見てっ!」

そう言って佐助が小脇に抱えていたものを早苗の眼前に突き出した。
突き出されたのは5才くらいの子供である。

「……子供、ですよね?」
「うん。」
「佐助さんの子ですか?」
俺様、そんなヘマしないから。
「……。」

誰もそんなことは聞いていない。違うから、と答えるだけでいいと早苗は思ったが
とりあえず黙っておいた。

「で、佐助さんの子じゃないなら誰の子ですか。」
「この顔見て誰か思い浮かばない?」
「いや、別に。」
「……酷っ!」

よく見てよ!と子供をぐいぐいと押しつけられ、早苗は思わずのけぞってしまった。
よく見れば、整った目鼻立ちをしており、大きな目はまんまるくなかなか愛嬌がある。
早苗と目があった幼子は、パッと向日葵のような笑顔を浮かべた。

「えーと、名前を聞いてもいいかな?」
「それがし、べんまるでござる!」
「佐助さん、やっぱりわかりません。」
「こんなにわかりやすいのにっ!?早苗、愛がないよ、愛が!」
「愛云々より前に、わからないものはわかりません。どちらの子ですか。」

早く言え、と言外に告げると、佐助はわざとらしく溜息を吐いた。

「あのねー、この子は真田の旦那だよ。」
「は?」
「弁丸って言うのは、真田の旦那が元服前に名乗っていた幼名ってやつ。」
「いや、ちょっと待ってください。幸村さんは私の一つ年上で……。」

「うん。そうなんだけどねー。俺様が調合していた薬草の副作用で
子供に戻っちゃったんだよねー。」
いやいやいや、あり得ませんよ、そんなこと!

何言ってんの!と否定する早苗に佐助はあははーと笑っている。

「ほら、忍のやることは何でもあり「なわけないでしょう。」

さっくりと突っ込みをいれられても佐助は、早苗ってば冷たーいと
全く堪えていない。この程度の突っ込みに耐えられないようでは
武田では生きてはいけない。

「で、本当の本当に幸村さんなんですか、この子は。」
「本当の本当に真田の旦那なんだよ。そこだけは信じて。」
「そこだけって……。で、なんで私のところに連れてきたんですか。
早く元に戻さないと大変なのでは?」
「うん。そうなんだけどね。原因が完全に突き止められたわけじゃないし
だからといって、このことを知られるわけにはいかないから
旦那を一時別の場所にうつすことにしたんだよ。」
「なるほど。」
「で、俺様一人じゃ大変だから早苗にも手伝ってもらおうと思ったわけ。」
「……それなら、普通に来ればいいじゃないですか。なんで突然
来たんですか。」
「えー、そっちのほうが面白いかなって思ったから。」
「……。」
「でも、早苗ってば全然気づいてくれないからつまんなかったなー。」

今度から面白い反応返してね、と笑顔で言われた早苗はすぐさま信玄に
書状を送り佐助の給料を減給してくれ、と頼もうと心に誓った。
佐助相手に口も腕もかなうわけがない。だったら確実に仕留められる方法を
取るのが兵法である。(違)

「それで、今すぐに行くのですか?」
「うん。大将の許可は貰ってあるから、とりあえず身の回りのものを簡単に
まとめてくれる?」
「わかりました。」
「真田の旦那……じゃなかった、弁丸さまは此処で待っててくださいね。
俺様もすぐに準備してくるから。」

「いやでござる!!」

「「へ?」」

すぐさま荷造りをしようとしていた二人に、幸村こと弁丸は大きな目にこれでもかってほど
涙を堪えて睨んでいた。

「それがしは、おやかたさまのそばがいいのでござる!どこにもいきとうない!!」
「いや、でもね……。」
「ぜったいにいかぬ!」
「弁丸さまー我が儘言わないでくださいよ。」
「いやなものはいやでござる!」

頬をふくらませ、ポロポロと涙をこぼす弁丸を佐助はなんとか宥めようと
しているが弁丸は嫌だと駄々をこね続けていた。
早苗は軽く溜息を吐くと、正座をし膝の上に手を軽く握って乗せて
背筋を伸ばした。

「弁丸さま、それが武士(もののふ)のなさることですか!!」

部屋中に響く大きな声と、早苗が発せられたビリビリと感じるに気に
弁丸は泣くのを忘れて思わず黙ってしまった。
早苗は両眼で弁丸を見据え、口を開く。

「弁丸さま。貴方様は由緒正しき武家の家柄のご子息。成長された暁には
お館さまを助けるべく強き武士にならればならぬ身。
些細なことで嫌だと駄々をこねられるようでは先が思いやられます。」
「で、でも、それがしは……。」
「言い訳は無用。男たるもの、”でも”や”だって”は使うべきではありません。」
「う……。」
「お館さまのお決めになったことです。」
「だがそれがしは……。」

”おやかたさまとはなれたくないのだ。”

目を真っ赤にしながら弁丸は早苗の目を見ながらそう言った。
そのとき、佐助がこそっと早苗に耳打ちする。

”真田の旦那は家庭の事情っつーか、まあ実家で色々あったみたいでさ。
ご両親と兄君とはほとんど暮らしてねぇの。ずっと大将の側にいたから
大将が親みたいなもんなんだよ。”

物心つかぬうちに親兄弟と離され、ようやく信玄の側で落ち着けた弁丸にとって
何が何でも離れたくない場所なのだろう。

「弁丸さま。何もずっと離れるというわけではありません。」
「……まことか?」
「はい。お館さまのお仕事が忙しいのはご存じですね?」
「うむ!」
「この先、さらに忙しくなると聞き及んでおります。此処にいてもお館さまと
お会いできることはなくなるでしょう。なれば、城にいるより見聞を広めよと
お館さまは佐助さんと私に命じられたのです。」
「……けんぶん?」
「はい。城の中ではわからぬことはたくさんあります。たくさんのものを
弁丸さまの目で見て、弁丸さまの手で触れなければならぬものが
たんとございます。よく学べというお館さまのお言葉を無下になさいますか?」
「そんなことはせぬ!」
「よくぞ申されました。たくさん学び、そのことを次にお館さまにお会いした時に
たくさん申されませ。必ずや褒めてくださることでしょう。」
「そ、そうか!それがしががんばれば、おやかたさまはほめてくださるのだな!」
「それは、もう。弁丸さまの成長に気づかない方ではありませんから。」
「ふおお!こうしてはおられぬ!さすけぇ!いますぐいくぞ!
それがしはけんぶんをひろめるでござるーっ!!」

片手を突き出して気合いをいれてる弁丸を見て、佐助はお見事と早苗に
笑いかけた。

「一か八かで怒鳴ってみたんですけど、効果がありましたね。」
「旦那を怒鳴るのは大将くらいだからねー。あ、お茶飲む?」
「いただきます。」

盆に乗った湯飲みを差し出され、それを受け取った早苗は一口飲んで
ふう、と溜息を吐いた。それを見た佐助は、ご苦労さまと笑う。
それを少し離れていたところで見ていた弁丸は

早苗は父上で佐助は母上のようでござる!!

と内心思っていたのを幸か不幸か佐助と早苗は知らなかった。



<あとがき>
家族ものが書きたかったんです。(逃)
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