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気の向くまま

まったりオタクライフの日々

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ぼちぼち

やっとこさ桃花扇の続きが進められました。
あと10話くらいで書き終わります。何事もなければなんとか
今月中に更新できるかと……。
しかし、話を読み返してみるともうちょっと違う展開に
持っていけばよかったなと思ったり。後の祭りですけどね。

もう一踏ん張り、頑張ります!


続きは息抜き(?)の桃花扇BASARAです。



「佐助佐助佐助佐助佐助佐助佐助ぇ―――――っっっ!!!!」
「一度、呼べば聞こえるよ。で、なに?」
「これを見てくれ!」

ずいっと佐助の目の前に差し出されたのは、5才ほどの女児だった。

「……旦那。」
「さ、佐助。これはだな。」
「もうやだなー、旦那ってば。いつの間にこんな大きい隠し子がいたの?」
「かかかか隠し子っ!?」

「一言俺様に相談してくれればちゃんと取りはからったのにさー。
こんなに大きくなるまで他所で育てるなんて可哀想じゃんよ。
別に旦那はまだ奥方がいないんだから手元で育てたっていいんだよ。
あ、それとも側室にできない身分だったら難しいかな?でもなー。」
「違うわ、馬鹿者っ!」

「うん。わかってる。」

冗談に決まってるじゃん、と笑われ幸村はがっくりと項垂れた。
幸村は若い女中が近寄るだけでも破廉恥と喚いて走り出す男だ。
そんな男が、女と懇ろな仲になり子供を作れるわけがない。
なんと言っても、甲斐の虎和子は甲斐性無し寒っ!

「で、どこの子?まさか拐かしてきちゃったの?」
「そんなこと誰がするか!」
「それとも、見初めちゃったとか?うわー、いくらなんでもそれは不味いでしょ。
あ、こんなに小さいうちから手懐けておけば旦那も平気だし
何より自分好みに育てられるよねー。でも初っぱなから最後の道楽は飛ばしすぎじゃない?」
「お前は俺をなんだと思っておる!!」

「あっはっは。で、本当にどこの子よ。なんとなくどこかで見たような顔の
気がするんだけどね。お嬢ちゃん、お名前はー?」
「早苗です。」



佐助は幸村の方をくるりと向いた。

「ちょっと旦那。どういうこと?」
「どうもこうも……。」

歯切れ悪く口ごもる幸村に佐助はずいと近寄る。

なんで早苗の娘が同じ名前になっちゃってるの!?
「んなっ!早苗の娘ではないっ!早苗はまだ16でござる!
こんなに大きな娘がいるはずがなかろうっ!」
「まあ、そりゃそうだけどさ。旦那と俺様の目を盗んで他の男が
近寄るなんてこともないだろうしねー。」
「……ぬ。」

早苗に対する幸村の想いは佐助にはお見通しである。
二人が添い遂げるかどうかはわからないが、とりあえず早苗に近寄る者は
さりげなく佐助が排除しているのだ。何故か女ばかりなのだが

「何でかわからないが、早苗がこのような姿に!」
「あー、やっぱり本人だったんだ。でも何で?」
「俺にもわからん!だからこうして佐助を呼んだのではないか!」
「いや、そう言われても。」

どうしたものかと悩む主従の横で早苗は大人しく座って待っていた。
確か幸村がこの年齢くらいのころは、一つ所にじっとしておらず
常に駆けずり回り、お守り役はとても苦労したものだ。(佐助含)

「まあ、とりあえず様子を見るしかないでしょうが。大将に連絡して
指示をもらった方がいいかもね。」
「う、うむ。」
「はい、決定。それじゃ、早苗。」

佐助に名前を呼ばれた早苗は顔を上げて佐助を見つめた。
16才の早苗の面影を残す5才の幼子は、ほっぺもふくよかで
目もとても澄んでいる。あと10年やそこらでどうやってあんなに
漢らしく育つのか佐助はとても気になった。だが、今はそれどころではない。

「しばらく早苗の面倒を見るから、よろしくね。あ、俺のことは佐助って呼んでね。」

きっと早苗にとって見も知らぬ場所だろうから、佐助は初めて接するように
早苗に笑いかけた。佐助の言葉を受け止めた早苗はたどたどしく口を開く。

「さすけ……お兄ちゃん?」
「っ!!」

首を傾げて上目遣いに自分の名前を呼ばれ、佐助は自分の心に何かが
直撃したのを感じた。ふるふると両手を握りしめる。

「うん。そう!もうそれでいこう!そうやって呼んでね!もう決定だから!」
「ずるいでござる、佐助!俺もそう呼ばれたいぞ!」
「え、いいの?」

(好きな子に兄扱いされてもいいの?)
(今の早苗は5才だからいいのでござる!)
(切り替え早っ!)

「早苗。某は幸村でござる。」
「ゆきむらお兄ちゃん……?」

人差し指をほっぺに当てて首を傾げた早苗に、幸村の心は何かに貫かれた。
先ほどの佐助のようにふるふると肩が震える。

「……佐助。」
「なに?っていうか言いたいことわかるから言わなくてもいいよ。」

妹とは斯様にに可愛いでござるな!

目をキラキラと上司に言い切られ、佐助も思わず頷いた。
常日頃、むさ苦しい武田軍に囲まれていると、些細な癒しが抜群に効果が
あるものだ、と佐助はしみじみ思った。

そんな二人を見て、早苗は深々と頭を下げた。

「ふつつかものですが、よろしくおねがいします。」

ゆっくりとした口調で挨拶をした早苗を見て、幸村が固まった。

(あ、ヤバイ)

とっさに佐助は早苗の耳を両手でふさぐ。それと同時に

破廉恥でござるぁぁああああ―――――!!!!!!

と邸中に幸村の声が響き渡った。
そのまま走り去ってしまった幸村を呆然と見送っていた早苗が
心配そうに佐助を見上げる。

「あ、ああ、うん。早苗はなーんにも悪くないからね。
ちゃんと挨拶できてえらかったよ。」
「でも……。」
「走って行っちゃった人のことは気にしなくていいから。
走るのが好きなだけだから。
「……。」


<あとがき>
今度はヒロインにも子供になってもらいました(笑)
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