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気の向くまま

まったりオタクライフの日々

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進まない

彩雲国もBASARAも書こうとすると手が止まってしまいます。
困ったなー。
時間が何とかなるのは今月くらい、というか半月くらいしか
ゆっくりできないのに。

9月中旬から12月上旬までゆっくりできないので
今のうちに書きたいのにー。のにー。

こんな時は、思い浮かんだ話でも書いてみるのが
いいかな、と思ったので、続きから小話を投下。


久しぶりに桃花扇ヒロインでIFなお話。
絳攸×ヒロインです。ちなみに結婚している設定。
……絳攸の出番はほとんどありませんが。
本編じゃあり得ないけど(苦笑)
デフォルト名は「早苗」です


「どうしても行かれるのですか。」

ちょっとやそっとじゃ泣かない早苗が眼に大粒の涙をためて
衣を握りしめていた。お願いだから行かないで、と眼で訴えている。
その悲痛さに百合はそっと視線を外し、絳攸は苦虫を噛み潰した
ような顔をしている。
黎深だけが、深々と溜息を吐いていた。

「離せ。」

早苗の性格ならば、そういわれればすぐさま手を離しそうなのだが
今の早苗は違う。絶対離すものか、とひしっと衣を握りしめるどころか
しがみつくように縋った。


「行かないでください、黎深さまっ!!」


そう。こともあろうに早苗は義父黎深に行くなと縋り付いていたのだ。
今まで黎深の顔を見て遁走する人間はいても、泣いて縋る人間など
誰もいなかった。まるで見てはいけないものを見てしまったような気がして
義母百合はさっきから視線を外しまくりである。

一方、夫である絳攸はどこまでも眼中外な妻の態度に
しかめっ面を隠そうともしない。

「いいから離せ、馬鹿桃娘。出仕できないではないか。」
「どうせ仕事しないならいいじゃないですか。同じですよ。」
「黙れ。」

いつも黎深なら、早苗を振り払うどころか扇でボコッと殴って
行くだろう。そもそも簡単に縋らせるわけがない。
黎深が口でしか言わないのはある理由があるからだ。

絳攸と早苗は結婚し、今では黎深達と共に住んでいる。
結婚した後に退官した早苗は百合の片腕として紅家の仕事を
手伝っていたのだが、ついこの間、めでたく妊娠が発覚した。

絳攸は当然として、父代わりの邵可も黎深も百合も喜んだ。
生まれてくる子供は早苗のお腹にいたとわかった瞬間から
祝福されていたのだ。

が、どうやら早苗は悪阻が酷い体質だったらしく
妊娠がわかってまもなく、悪阻にずっと悩まされ続けているのだ。
今まで食べられたものはほとんど受け付けず、酷い時は
水分すら取れない有様である。

さすがにこのままでは母体も胎児も弱ってしまう。
とはいえ、悪阻に対する薬などあるわけがなく、食べられる時に
食べるくらいしか方法はないのだ。

口に入れたそばから戻し、ぐったりとしている早苗に
周りは何もできなかった日々が続いた。
だが、ある日早苗は気がついたのだ。

黎深のそばにいると、何故か悪阻がおさまっているということに

そんな馬鹿な、と誰もが思うだろう。早苗だってそう思った。
だが本当なのだ。何をしても駄目だったのに、黎深のそばにいれば
気持ち悪さは全くない。
そして黎深から離れると、水も受け付けないほど吐き気に襲われるのだ。

話を聞いた百合はしみじみと頷いた。

「黎深の悪逆非道な鬼畜っぷりが役に立つなんてねぇ。
こんなの迷惑以外の何者でもないと思っていたんだけど
まさかこんなことになるなんて思わなかったよ。
よかったね、黎深。我が儘大魔王で。」

「お前、他に言いようはないのか。」
「だって本当のことじゃないか。早苗の酷い悪阻もさすがに黎深には
勝てなかったんだね。というか、あんなに酷い悪阻に勝つなんて
君の鬼畜っぷりってどれだけなのさ。」

「うるさい。」
「いいじゃないか。黎深が側にいれば早苗は悪阻に悩まされることなく
お腹の子供も順調に育っているわけだし!
出仕したってどうせ仕事しないんだから、だったら可愛い孫の為に
動きなよ。」

「ふん。」

扇を仰ぎながらそっぽを向いた黎深を見て、百合は楽しそうに笑った。


一方、絳攸と早苗はというと。

「……まだ気持ち悪いか。」
「はい~。ご飯を見るどころか考えるのも嫌です……。」
「そ、そうか。やはり黎深さまの側のほうがいいか?」
「はい。」

きっぱりと言い切られ、夫である絳攸は微妙な顔をした。
妻の具合が悪い時こそ夫としての出番なのに
出るどころか妻は黎深の姿を見かければ
主人見つけた犬よろしく駆け寄る有様である。

そんなことを大人しく許す黎深ではないのだが
事情が事情である。逃げるわけにもいくまい。
ちなみに邵可に

「鬼畜っぷりなら君に負けないのにねえ。なんで早苗は私の
ところに来ないのかなあ。」

と黎深は邵可と顔を合わせる度に言われている。
黎深とて好きで早苗になつかれているわけではないのだが
事情が事情である。邵可もわかってはいるが、可愛い娘が
黎深にだけ懐くというのは納得がいかない。

そんな兄と義娘の板挟み(古っ!)を黎深は生まれて初めて
経験しているのだ。百合曰く、

「いい経験だねえ。ここで頑張れば可愛い孫に懐かれるかもよ。
お腹にいる時から黎深が好きなんだからさ。」

と笑っていた。

余談だが、悪阻の時期を無事に乗り越えた早苗は女の子を
出産するのだが、百合の予想通りどころかそれを超えて


結婚するなら黎深お祖父さまみたいに優しい方いい♪


と笑顔で言い切り、周囲を絶句させるのだが
それは、5年後の話である。


<あとがき>
おおう!絳攸の出番がない!(笑)
黎深さまは悪阻すら撃退するというのが書きたかった。
これが巷に伝わり、黎深はそのうち悪阻に効果があるどころか
安産効果があるといわれて拝まれたらいい(笑)

黎深は秀麗には「優しい叔父さま」と言われることはなくとも
孫には「優しいお祖父さま」と言われるといいと思います。
きっと、周りはドン引きするくらい、デッレデレになるかと。
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